ストレス社会が糖尿病を悪化させる?
ストレス社会に脳が追いついていない
今、日本は朝令暮改のように目まぐるしい変化の中にいます。
昨日当たり前だったことがもう今日は通用しない、そんなことが日常茶飯事。
実は、文化の急速な発展に脳は追いついていないと言われています。
これでは今の発達した文化に適応できず心の疲れが溜まってしまうのは当たり前です。
ストレスで血糖値が高くなる!?
長期的にストレスを受け続けると、体も心も疲弊し「うつ」状態になってしまいます。
また、暴飲暴食をせずにストレスを受けるだけで血糖値が上がることも分かっています。
先ほど脳はまだ文化の発達に適応していないとお伝えしましたが、実は血糖値には狩猟時代の名残である現象が働いています。
敵を前にし緊張状態にある場合、神経を張りつめ筋肉を最大限に働かせるため、エネルギー源であるブドウ糖が大量に必要になります。
そこで血糖値をあげるホルモンを分泌し、危険に対処していたのです。
血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけですが、血糖値を上昇させる作用のあるホルモンは多く存在します。
ストレスを感じて交感神経が活発になり、これらのホルモンが働くことで、血糖値が上昇しやすくなります。
また、過剰なストレスにより分泌量が増えるコルチゾールというホルモンも、血糖値を上昇させてしまいます。
こういった理由で、ストレスと血糖値は結びついているのです。
ドイツでの実験結果も
ストレスと血糖値の結びつきが明らかになった、ドイツのミュンヘンで行われたとある実験をご紹介します。
約5,400人の2型糖尿病を発症していない対象者を平均13年間追跡調査したところ、約300人が新たに糖尿病と診断されました。
その中で、職場で大きな仕事を要求され強いプレッシャーを感じていた人は、そうではない人に比べて2型糖尿病を発症するリスクが45%も高いということが分かったのです。
この実験から、肥満、年齢、性別などの影響を取り除いてもストレスと糖尿病には関連性がある、ということが明確になりました。
その他にも、ストレスから暴飲暴食を繰り返し、血糖コントロールの悪化につながることも他の調査から分かっています。
今からできるストレスの予防法
日々のストレスに対する予防法は次のようなものがあります。
ストレス解消法や予防法は、人によって様々。自分に合った方法を見つけてみましょう。
ストレスがかかっている状態は筋肉の緊張につながります。
仕事中はこまめに、一日の終わりにも軽くストレッチを心がけ体の緊張をほぐしましょう。
ウォーキングやサイクリングなどで、心を穏やかにしてくれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌が高まると言われています。
星の瞬き、木漏れ日、波の音、川のせせらぎ、そよ風などの自然減少に含まれる一定のリズムを「1/fゆらぎ」と言います。
これらは心臓の鼓動に近いためリラックスができると言われています。
毎日のストレスが増え続ける中で、昼休みに公園の植物に癒されたり、就寝前にキャンドルを炊いたり、週末に山に出かけたりなど、自然に触れる時間を増やすことでリラックスすることができます。
不安や緊張が強い状態は、呼吸が浅くなりがち。辛い時こそ深い呼吸を意識しましょう。
数を数えながら息をしっかり吐ききることで余計な考えを取り除くことができます。
スマホから得られる情報は交感神経を活発にさせる傾向があり、ストレスを緩和させる副交感神経の作用を弱めてしまいます。
絶えず情報を浴び続けているといつの間にか脳も疲労してしまいます。一日のスマホ時間を見直したり、使用の合間に休憩をとるなど、長時間スマホを見ることは意識的に避けましょう。
自分の感情や思いを吐き出すことで心の浄化をすることカタルシス効果といいます。
心で感じたことを言葉にすることで気分がすっきりしたり、客観的視点で考えられるようになったりします。
瞑想は、リラックス効果だけでなく、物事をポジティブに考えられるようになる効果もあるストレス解消法です。
イライラしたり、心が落ち着かない時は、数分間の瞑想でスッキリしたりします。
ストレスとの上手な付き合いを
適度なストレスは日々の生活にメリハリを与えてくれたり、刺激を与えてくれます。
しかし、過度なストレスは糖尿病だけではなく、様々な病のもとになってしまいます。
無理のない範囲で、自分にぴったりの発散法を実践してみてくださいね!